#57(記録)「ビールの時間ですよ〜」川面克行 氏

2019年6月21日
テーマ: 「ビールの時間ですよ~」
ゲスト: 川面克行氏 (アサヒグループホールディングス株式会社 社友)

アサヒビールの醸造部長としてビール一筋に歩み、副社長まで務められた川面さんに「これぞビール」を語っていただきました。

ビール豆知識
ビールに使われる麦は二条大麦。ホップはすべて雌株を使用します。日本で主流の生ビールは熱処理されていないビール。ではラガーは熱処理されているのかというと関係なく、低温で長期醸成されるビールがラガービールと呼ばれます。ビールの小売価格の45%は税金。ビール造りは古代エジプトで5000年前に始まりましたが、日本に伝わったのは江戸時代。

ビール瓶が茶色く着色されているのは、ホップ成分と紫外線の化学反応によって日光臭という不快な臭いをふさぐため。瓶ビールの633mlという容量は、は昭和15年の酒税法制定の際に当時使用されていた一番小さいものに統一して決まったものです。酒類のテレビCMは午前5時~午後6時まで自粛するとビール酒造組合の自主基準で決められています。

「ここでクイズ10問です」と。
ビールに関するクイズで一気にビールの世界へ!
知らないことだらけでした!

グラスに注いだビールの泡を少しでも長持ちさせるには?

皆さん興味津々。
少し上から注ぐ、しばらく待つ。うまく傾けて下の液だけ飲み、注ぐ。また下の液をすすりなおし、もう一度注ぐ。泡の上にタンパク質の粒子を作らせることで泡が長持ちするんだそうです。是非やってみてください!

ビールの起源は諸説ありますが、紀元前3000年メソポタミア地方のシュメール遺跡から記録が出ています。腐ったパンの汁のようなものをすすっていたようです。その後、バビロニア、エジプト、北ヨーロッパにも伝わり、中世になると教会や修道院でビール造りが広まります。そのうち、原料にホップが使われるようになりました。

1516年、ドイツバイエルンで「ビール純粋令」が交付され、ビール原料は麦芽、ホップ、水、(後に酵母)以外のものを使ってはならないとされました。当時のビールはメルツェンタイプで、夏場、衛生上の理由でつくることができませんでしたが、19世紀以降、リンデの冷凍機(低温熟成四季醸造が可能に)、パスツールの低温殺菌法(腐敗防止、工業製品化)、ハンセンの酵母純粋培養法の開発で、ピルスナータイプビールの製造が可能になりました。

ビールの歴史をちょっと振り返って
日本では、1853年に川本幸民が自宅で試醸したと言われます。1870年のスプリングバレーブリューワリ(…→キリンビール)を皮切りに、1876年に開拓使麦酒、1872年に渋谷ビールなど、各地に醸造所が立ち上がりましたが、合併を経て一時は大日本麦酒が75%の圧倒的なシェアを持つようになりました。しかし、過度経済力集中排除法により、1949年、大日本麦酒が日本麦酒(→サッポロビール)と朝日麦酒(→アサヒビール)に分割されます。3社の寡占が続いていましたが、1963年のサントリービールにチャネルを開けたことでアサヒビールは窮地に陥ります。熾烈なシェア争奪戦のなか、アサヒビールが夕日ビールと呼ばれるように。

新しい概念のビール
新しいビール、スーパードライのコンセプトは、辛口。DRYでした。これを技術翻訳すると、ビールの最終発酵度を上げる、アルコール度数を上げる、苦みを抑え苦みの質を上げるということになります。他社との差別化を図る決め手は酵母です。使用する酵母、原料の配合、仕込み条件などを吟味する必要があります。しかし、技術や伝統を変えることは簡単なことではありません。相当な設備投資も必要になるほか、酵母を変えることのリスクも読み切れません。

新商品は完成しましたが、経営会議ではリスクを背負うことに反対が多く、とりあえず100万函のみ販売してよいとの許可が出ました。昭和62年3月に発売し、その年に1350万函を売り切りました。当時の樋口社長が、金のことは心配するなと、1兆4000億の借金で設備投資し、工場設備能力を増強してくれました。

酵母が麦汁中の糖分を全部取り込んで分解すると雑味がなくなり、辛口になります。他のビールは甘味がけっこう残っていたので、消費者にすっきりわかってもらえました。アルミの地肌をそのまま使ったデザインもハマりました。中身と言葉が一致しているということで、最初は落合信彦のイメージ。その後、主飲者がおじさんから若い男性、女性に変わってきたことで、女性客の取り込みが必要になり、福山雅治にキャラクター交代しました。

スーパードライ発売から32年が経ちましたが、ビール香味の劣化との闘いは永遠の課題です。また、常に同じものをつくることの難しさもあります。ブランド力の維持、技術や技能の継承も課題です。今の若い人はソフトの使い方はわかっても、ビールの味がわからないからです。

ここからが本題。あなたは上手にお酒と付き合っていますか?
アルコールは胃から20%、小腸で80%吸収され、血液中で最後は炭酸ガスと水に変わっていきますが、早く変わる人、なかなか分解が進まない人があります。実は、分解能のあるなしは、血液中の酵素をつくれる遺伝子があるかどうかで決まっているのです。

アルコールが脳にどんなふうに作用するかご存知ですか。(抑制を司る)大脳皮質にアルコールが入ると抑制が解かれ、日頃と違う朗らかさが出たりします。(運動を司る)小脳から(記憶を司る)海馬に入ります。衝撃を受けると海馬が揺れて強い記憶となりますが、海馬にアルコールが入ると記憶がなくなります。その後、(生命維持を司る)脳幹に入ると、自動的な呼吸などができなくなることもあります。

お酒の強くない人はアルコールを分解できないので、脳幹まで行ってしまう恐れがあります。お酒は食事と一緒に飲むと、血中濃度の上がり方が緩やかになるので、食事と一緒に飲みましょう。

お酒に強い遺伝子を持っているかどうかは、エタノールパッチテストでわかります。エタノールを含ませた絆創膏を皮膚に貼り、7分後にそっとはがして、色が付くかどうか見てみます(A)。
そして、もう一度貼り戻し、また色を見ます(B)。

チェックポイントAで赤くなった人は、お酒を飲めない体質。
チェックポイントBで薄い色が付く人は、お酒に弱い体質。
チェックポイントA、Bで変化がなかった場合は、普通に飲める体質です。

アルコール依存症について
大ビン3本を毎日10年間飲み続けるとアルコール依存症になる可能性があります。鬱とアルコール依存症は同じように始まります。飲める人は特に注意が必要です。飲んだ量を少なくごまかして過少申告する人は、お酒に対する罪悪感があるということで、依存症の危険があります。依存症の見極め方の一つですので、注意してください。

ビールを愛するがこそ、心身を壊すことなく楽しんでほしいという川面さんのビール愛がひしひしと伝わってきました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です